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「VRML」という "言葉" を慶応大学環境情報学部の千代倉先生に教えて頂いたのは1995年の8月, ソウルでのCGに関する国際会議の会場でした.「知らないの?」とのお言葉に対して, 自分の研究分野の動向を把握していないことを恥ずかしく思いながら, 「これから勉強します.」と答えました.
インターネットを中心とするネットワークが今後社会のすみずみまで深く浸透していくことは間違いないことでしょう. ブラウザを通してJava言語の最新情報を得たり, 目が醒めるような美しい画像を見つけたりするととてもこの画期的な "道具" を手放す気にはなりません.
「研究者の仕事の60パーセントは文献を読むこと」と会津大学の同僚(チュニジア人)は言っていますが, 論文を読むことに多くの時間を割いてるのはどの分野の研究者でも同じでしょう. ネットワークが発達する以前は, 必要とする文献を手に入れるために図書館まで足を運び本棚を調べてその文献を探さなければなりませんでした. その文献が自分の大学の図書館にない場合には他大学や公共の図書館に問い合わせなければなりませんでした. 結局どこにも所蔵されていなかったり, 問い合わせに時間がかかりすぎたりであきらめてしまうということもしばしばありました.
ネットワークの発達にともない多くの研究者が自分の論文をネットワーク上に公開しています. ネットワークを通して多くの研究者の論文が最新のものも含めて簡単に入手できるようになっています. PostScriptといったページ記述言語の標準化によって, テキストだけでなく図表も含めて, しかもきれいにレイアウトされた形で論文を得ることができます. 現時点ではすべての文献がネットワークを通して得られるわけではありませんが, 将来的には, わざわざ学術誌を購入しなくともよい, 必要な論文はすべてネットワークを通して得られる, という時代が来るでしょう.
ネットワークを通して人々が情報を共有するためには, 情報の種類に応じて規格化し標準フォーマットを定めなければなりません. ブラウザで美しい画像や動画を楽しめるのは, 画像の場合はJPEG, GIF, 動画の場合はMPEGといった規格にしたがって画像データが生成されているからです. 規格外のフォーマットをブラウザに渡してもブラウザはどう "理解" して良いかわかりません.
本書で取り扱うVRML(Virtual Reality Modeling Language)はコンピュータ上の3次元世界(3Dサイバースペース)を記述する標準フォーマットだと考えられます. VRMLが提案される以前には3D世界を記述する共通の規格がなく, ネットワークを通しての3DCGや3D形状モデルのやりとりは事実上不可能でした.
ネットワークを通して3DCGや複雑な3D形状データが得られたら何ができるでしょうか? 研究や教育の分野で, 商業や経営のために, あるいは趣味の世界でどのように活用できるでしょか? この本でも第I部「夢物語」としていくつかの活用例を提案してみました. 読者の皆さんがより快適で楽しくスリリングな生活を送るためにネットワーク上に構築された3D世界をどう活用するかについて考えるきっかけをこの本が与えられればと思っています.
ネットワークによって社会は大きく変革します. その変革の一翼を担うのがVRMLで構築する3Dサイバースペースなのです. むしろ, すべての機能が3Dサイバースペースに組み込まれる可能性すらあると感じています. 机の上を模倣したGUIが成功したように, 今度はオフィスの3D空間を模倣したGUIが主流になるかもしれません.
本書は3Dサイバースペース構築のための基本的なツールとなるVRMLについて, 特にそのバージョン2.0についての解説書です. 三部から構成され, 第I部「夢物語」ではVRMLが将来社会に与えるであろうインパクトについて具体例を示しながら予想してみました.
次の第II部「基礎編」では, インターネット, WWW, CGといったVRMLを支える技術とVRMLについて簡単に説明しています. コンピュータ初心者でも「VRMLとは何か?」を理解できるようにできるだけ平易に解説してあります.
最後の第III部「技術編」では, 2DCG・3DCGの技術的な基礎事項を学んでから, まずVRML1.0の仕様について簡単に解説し, 次にVRML2.0について詳細に解説してあります. 1.0が動きのない3Dワールドを記述するに留まるのに対して, 2.0ではユーザとのインターラクション, アニメーション, より複雑な動きを記述するためのスクリプティングといった動的なサイバーワールドを構築するための機能が付加されています. 今後, VRMLは2.0が主流になると予測され, 本書ではその仕様について十分に理解できるように, キーコンセプト, 3Dシーンを記述する各ノードの詳細について説明してあります.
- 書名: VRML: 3Dサイバースペース構築言語(仮称)
- 著者: 三浦 憲二郎
- 発行日: 11月20日
- ページ数: 274 ページ
- ISBN: 4-254-12117-2
- 値段: 定価3502円(本体3400円)
- 出版社: 株式会社 朝倉書店
住所 : 〒162 東京都新宿区新小川町6-29
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