本書は, これからプログラミングを勉強しようとしている学生などの初学者を対象として書かれています. プログラミング言語としては, ネットワークやマルチメディアに対応したJava言語を取り上げています.

プログラミング言語を教えていていつも感じることは, コンピュータの動作原理の理解をぬきにしてプログラミング言語を十分理解することはできないということです. コンピュータをまったくのブラックボックス(中身はわからないが, 入力を与えるとそれに応じて出力する機械)と考えてプログラムを書くこともできないわけではありませんが, なぜそのようにプログラムしないといけないのか, なぜそのようにプログラムすると効率がよいのか, などの疑問に自分自身で答えることができず, 徐々にプログラミングに対するストレスや嫌悪感が溜まってしまいます.

アプリケーションソフトウエアの使い方を教えることによってコンピュータの利用法を学ばせる「コンピュータリテラシ」では, コンピュータをブラックボックスと考えて授業・演習を行います. テレビの受信原理がわからなくとも, その使い方さえ覚えれば十分楽しめるのと同じように, コンピュータの動作原理がわからなくともソフトウエアを使いこなすことは十分可能です. しかしながら, 「プログラミング」の授業・演習では, コンピュータをブラックボックスとみなすことにかなり無理があり, 情報の表現法や動作原理について理解していないと非常に "居心地が悪く" , プログラミングに習熟したり, 楽しむことができません. また, コンピュータの動作原理を教える「コンピュータ概論」の授業では, プログラミングの視点ではなく, コンピュータシステム全体を捉えた視点で議論がなされるためプログラミング時に遭遇する疑問に直接的には答えてくれません. 本書は, プログラミングの視点からコンピュータの動作原理を理解することを意図し, Java言語でのプログラミングに習熟するとともに, コンピュータの動作原理も合わせて理解できるように工夫しました. コンピュータの動作原理の理解とプログラミング言語を十二分に使いこなすことは切っても切れない関係にあるので, 「プログラミング」の授業ではあまり触れないコンピュータの動作原理についてもかなりのページを割いています.

第I部「Java言語概観 -プログラミング事始め-」(第1-3章) では, プログラムとは何か, コンピュータの種類や機能, ハードウエアやソフトウエアの役割について述べるとともに, Java言語で書かれたプログラムがどのようなものか概観しています.

次の第II部「コンピュータ概論 -Java言語をより深く理解するために-」(第3-5章) では, コンピュータとは何か, 情報の表現法, ハードウエアやソフトウエアについてより深く解説しています. また, Java言語で採用されている「オブジェクト指向」の考え方について, 具体的なプログラムを例にして説明しています.

最後の第III部「Java言語 -Java言語入門-」(第6-14章) では, Java言語の機能の詳細について, いままでに学んだコンピュータの動作原理と関連付けながら解説しています.

• 書名: はじめてのJavaプログラミング
• 著者: 三浦 憲二郎
• 発行日: 平成１０年４月１７日
• ページ数: 208 ページ
• ISBN: 4-254-12133-4
• 値段: 定価(本体2,800円 + 税)
• 出版社: 株式会社 朝倉書店
  住所 : 〒162 東京都新宿区新小川町6-29
  電話番号 : 03(3260)0141
  FAX番号 : 03(3260)0180

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